
対象となる分岐部脳動脈瘤とは?

脳動脈がコブ状に膨らんだ状態を脳動脈瘤といいます。脳動脈瘤は壁が薄く破れやすい状態で、突然破裂してくも膜下出血を起こす危険性があります。脳動脈瘤の中でも、動脈が二股に分かれる部分にできる動脈瘤を分岐部動脈瘤といいます。Woven EndoBridge(WEB)は、従来のカテーテル治療では治療が難しい入り口の大きな分岐部動脈瘤に対する治療デバイスです。
WEB治療イメージ
従来のカテーテル治療では、コイルと呼ばれる非常に柔らかく細い金属の糸を何本も動脈瘤に詰め込んで動脈瘤内に血液が流れ込まないような状態を作ることで治療していました。入り口の大きな分岐部動脈瘤では、コイルを詰め込むと動脈瘤からコイルがはみ出して、正常血管の血液の流れが悪くなる危険性があるため、これまでは、ステントやパルスライダーと呼ばれる金属の治療器具を正常血管内に留置して治療を行っていました。
WEBは、脳動脈瘤のサイズにあった金属の細かいメッシュでできた籠(かご)を動脈瘤内で広げて留置し、動脈瘤内に血液が流れ込みにくくして動脈瘤を治します。WEBは1つ留置するのみで短時間で治療を終えることができるため、放射線被曝量が非常に少なくなります。動脈瘤以外の正常血管内に金属の道具を置かないため、血栓症が起こりにくく、ステントと異なり治療後に抗血小板剤(血液を固まりにくくする薬)を飲み続ける必要がありません。欧米ではすでに5年以上の使用実績があり、日本でも使用できるようになりましたが、まだ非常に限られた施設でしか使用できません。


医師の紹介

脳卒中センター長 波多野 武人
充実した検査・治療機器に加え、医師のみではなく患者様に関わる全てのスタッフがより良い治療を提供すべく日々努力を重ね、特に脳卒中においては国内で最も信頼される施設の一つに成長しています。
脳卒中のみでなく脳神経外科の多くの疾患で予防や早期治療が大切です。ご心配なことがあれば早めにご相談ください。
- 京都大学医学部臨床教授
- 京都大学 医学博士
- 日本脳神経外科学会 指導医 専門医 代議員
- 日本脳卒中学会 専門医 代議員 幹事
- 日本脳神経血管内治療学会 指導医 専門医 九州地方会幹事
- 日本神経内視鏡学会技術認定医
- 日本脳卒中の外科学会 技術指導医 代議員
- 日本心血管脳卒中学会 評議員
- 日本脳神経外科コングレス