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PFO

治療実績

25

(2023.3.31現在)

PFO

卵円孔開存による脳梗塞

酸素を多く含んだ血液を送るために、心臓の左右の心房の間の心房中隔に胎児期に開いている卵円孔は、胎児循環器系の発達において重要な役割を果たします。生後は閉じますが、4人に1人が閉じずに開存していると考えられています。通常は症状もなく、治療の必要もないとされていますが、まれに卵円孔が閉じずに開存しているために右心房から左心房に血液が直接流れ込み、危険な血栓が卵円孔を通過し脳に達することで脳梗塞や一過性脳虚血発作の原因となりうると考えられています。

AMPLATZERTM PFOオクルーダー

AMPLATZER PFOオクルーダーは、卵円孔開存(PFO)が関与したと考えられる脳梗塞の再発予防としてカテーテルを通して心臓内に留置され、PFOを閉鎖してしまう最新治療です。

PFOオクルーダーの適応基準

  • 1.必須条件:下記の条件をすべて満たす場合に本治療の施行が検討される。
  •  ・卵円孔開存の関与があり得る潜因性脳梗塞の診断基準に合致した患者
  •  ・閉鎖術施行後一定期間の抗血栓療法施行が可能と判断される患者
  •  ・原則として、60 歳未満の患者
  •  ・(女性の場合)妊娠していない、かつ 1 年以内の妊娠を希望しない患者
  • 2.推奨基準:上記を満たし、かつ下記のいずれかの条件に当てはまる場合には本治療の施行が推奨される

  • ・下記のような機能的・解剖学的に高リスクの卵円孔開存を有する場合
  •  ✓シャント量が多い
  •  ✓心房中隔瘤(atrial septal aneurysm:ASA)の合併
  •  ✓下大静脈弁 (Eustachian valve:EV)の合併
  •  ✓キアリ網(Chiari network)の合併
  •  ✓安静時(非バルサルバ負荷下)右左シャントを有する
  •  ✓長いトンネルを有する卵円孔開存
  • ・適切に施行された抗血栓療法中に上記潜因性脳梗塞を発症した場合
  • 医師の紹介

    循環器内科 部長 白井伸一

  • Profile
  • 日本内科学会 指導医 専門医 認定医
  • 日本循環器学会 専門医
  • 日本心血管インターベンション治療学会 専門医 認定医 Valve委員 SHD委員
  • 日本経カテーテル心臓弁治療学会(JTVT) TAVR実施医・指導医
  • 経皮的僧帽弁接合不全修復システム認定術者
  • 経皮的心房中隔欠損閉鎖術認定術者
  • 左心耳閉鎖術(Watchman)トレーニング受講終了
  • Structure Club Japan 理事
  • 日本経カテーテル心臓弁治療学会 理事 指導医
  • PCR Tokyo Valves program committee
  • 日本心血管脳卒中学会 学術評議員
  • 日本集中治療医学会
  • 地域の先生方向けのQ&A【卵円孔開存閉鎖 (PFO closure) 】

    ブレイン・ハート外来の窓口は循環器内科なのか脳神経外科なのか?

    循環器内科で対応します。各種検査の後に、脳神経外科医とのブレイン・ハートチームカンファレンスで治療方針を総合的に検討します。必要な場合は、脳神経外科対応に移行します。

    ブレイン・ハート外来の対象はどんな疾患・治療なのか?

    PFO closure と左心耳閉鎖 (LAAC) を念頭に、以下の患者様を対象としております。
     
    卵円孔開存を有する潜因性脳梗塞 (PFO closure)
    心房細動に抗凝固療法中で脳出血を起こした症例 (LAAC)
    心房細動に抗凝固療法中で再発性脳梗塞を起こした症例 (LAAC)
    心房細動に抗凝固療法中で出血性合併症を起こした症例 (LAAC)

    PFO closure が対象となる典型的な患者像とは?

    若年で脳梗塞を起こし、潜因性脳梗塞と脳卒中専門医に診断され、循環器内科医によって PFO を通じた右左シャントが証明された方が典型的な患者像です。

    潜因性脳梗塞患者を紹介したいが、年齢制限はあるか?

    特にありません。PFO closure に関しては原則60歳未満の患者に適応があるとされていますが、60歳以上でも脳梗塞を繰り返す場合や他に原因が考えにくい場合などではブレイン・ハートチームカンファレンスで総合的に検討した結果、治療適応と判断する場合があります。

    脳梗塞ではなく一過性脳虚血発作(TIA)の場合はどうすればよいか?

    潜因性のものが疑われる場合にはご紹介下さい。ブレイン・ハートチームカンファレンスで治療方針を検討し、治療適応と判断する可能性があります。

    他院で脳梗塞と診断された患者がいるが、潜因性かどうかわからない。ブレイン・ハート外来に紹介してよいか?

    ご紹介下さい。各種情報の収集、追加検査等を行い、ブレイン・ハートチームカンファレンスで総合的に治療方針を検討します。

    潜因性脳梗塞と診断された患者がいる。バブルテストのみお願いしたいが、可能か?

    可能です。ぜひご紹介下さい。

    初めて脳梗塞となった患者がおり潜因性と考えられる。初回の脳梗塞は治療適応か?

    卵円孔開存があれば、初回の脳梗塞で治療適応です。ぜひご紹介下さい。

    ラクナ梗塞の診断がついているが、PFO closure の適応はあるか?

    ラクナ梗塞の場合は PFO closure の適応はありません。

    下肢静脈血栓 (DVT) の存在は PFO closure に必須か?

    必須ではありません。潜因性脳梗塞と診断され、PFO を通じた右左シャントが証明されれば、閉鎖適応になり得ます。

    塞栓症の既往はないが、卵円孔開存の指摘がある。予防的な閉鎖の適応はあるか?

    塞栓症の既往がない場合、閉鎖適応はありません。卵円孔開存は人口の20%以上に存在するとされていますが全員が塞栓症を起こすわけではないため、あくまで症状を有した方が閉鎖適応となります。

    特にハイリスクな PFO の特徴は?

    シャント量が多い、心房中隔の動揺の幅が大きい、PFO のトンネルが長い、Eustachian弁や Chiari網があるまたはPFO と心房中隔の角度が浅いなどがハイリスクPFO とされており、経食道心エコー図検査で診断します。

    バブルテストで脳梗塞を誘発しないか心配。

    バブルテストはガイドラインにも記載れた必須の検査法で、正しく行えば脳梗塞を誘発することはありません。

    潜因性脳梗塞と診断された患者がいる。バブルテストのみお願いしたいが、可能か?

    可能です。ぜひご紹介下さい。

    バブルテストでは経食道心エコー図検査も行うか?非常に苦しいと聞いたが?

    まず通常の心エコー図検査 (経胸壁心エコー図検査) でバブルテストを行い、続いて経食道心エコー図検査を行います。当院で行う経食道心エコー図検査は原則として全例で鎮静剤を使用しており、検査中の苦痛はほとんど感じないように配慮しております。

    他院で以前バブルテスト陰性と出たが、潜因性脳梗塞を繰り返している。もう一度バブルテストを行う意義はあるか?

    バルサルバ負荷が不十分な場合、本来右左シャントが存在してもバブルテストが陰性になってしまうことがあります。決して侵襲の高い検査ではありませんので、ご紹介頂けましたらいつでも再評価させていただきます。

    カテーテル的ではなく外科的にPFOを閉鎖することもあるか?

    ございます。ただし、解剖学的にデバイス留置不可能と判断した場合のみであり、大多数の患者がカテーテル治療をお受けになられています。

    PFO closureの入院期間は?

    通常、治療の翌日から歩行を開始し、翌々日には退院となります。

    PFO closure後は、すぐに抗血栓薬を中止してよいか?

    留置したデバイスへの血栓付着予防として、原則として半年間の抗血小板薬2剤併用をお願いしておりますが、出血リスクの高い患者においてはその限りではありません。退院時に診療情報提供書に明記させて頂きます。

    PFO closure後、CTやMRI検査の制限はあるか?

    特に制限はございません。

    受付時間 (診察開始8:30〜)
    新患/8:10〜11:00 再来/8:10〜11:30
    *詳しくは各診療科案内の外来医師担当表をご確認ください。
    休診日
    土・日曜日、祝日、年末年始

    〒802-8555
    福岡県北九州市小倉北区浅野3丁目2-1

    093-511-2000(代表)