麻酔科医
Anesthesiologist【心臓麻酔チーム】
当施設では、年間約600例の開心術(血管内治療などを含めると1000例以上の心臓血管手術)が行われています。全国有数の症例数ではありますが、心臓麻酔の研修を希望して集まってくる若手の先生を対象に、より効率よく多くのことを学べるような研修が行えるよう体制を整えています。






教育体制
心臓血管外科の術前カンファレンスに参加し、心臓大血管手術の全症例の重症度を評価したうえで、若手医師の到達度に応じ心臓血管麻酔専門医が適切に症例を振り分けています。集中してトレーニングを希望する若手医師に対しては、最大で「週2例・年100例の開心術」を一つの目安とし、可能な限り心臓血管麻酔専門医が指導する体制としています。ある程度の経験を積んだ後は、心外宅直(オンコール)で緊急症例(急性大動脈解離・不安定狭心症・心室中隔穿孔など)を経験してもらいます。時間外の緊急症例では、基本的にはICU当直医がバックアップする体制としています。手術室専属の臨床検査技師(経食道心エコー担当)が在籍しており、麻酔科医の視点とはまた違った検査技師の視点から指導を受け、スキルアップすることもできます。また、臨床工学技士(体外循環認定士)との交流を積極的に行い、心臓麻酔において必須とされる人工心肺の理解および麻酔管理・循環管理との連携を重視するようにしています。週1回、症例検討の勉強会を開催しています。直近の症例でのトラブルから何気ない些細なことまで、スタッフで意見を出し合いながら情報を共有し、臨床力の向上を目指しています。心臓麻酔は施設の独自性が大きく反映されがちですが、なるべく施設独自のローカルルールはなくす方向で考え、より一般的な手法・考え方を身につけてもらえるようなシステム作りを目指しています。また、心臓麻酔という枠にとらわれず、心臓麻酔で身につけた麻酔管理・循環管理の考え方を非心臓手術にも応用し、麻酔科医としての総合力の向上を目指しています。
スタッフの声
2012年卒麻酔科医:2019年心臓血管麻酔専門医試験合格
心臓麻酔経験症例数(開心術のみ)
2018年度102例
2019年度104例
私は大学からの国内留学という形で2年間当院で勉強させていただきました。この2年間で約200例の開心術を経験させていただきました。
麻酔は心臓血管麻酔専門医の先生に指導してもらいながらの2人体制で行うことが多いです。麻酔に特に決まった形はなく、自分の思う通りの麻酔をすることができました。日々ディスカッションを重ねることで心臓麻酔を成熟させることができると思っています。
また心臓血管麻酔に関する有資格者も多く在籍しておりますので、試験の対策に関しましても指導していただきました。心臓麻酔への熱い志をもつ人たちも多く、勉強する環境としてはとても良いと思います。興味がある先生がいらっしゃいましたら、ぜひ見学にいらしてみてください。お待ちしております。
2014年卒麻酔科医:2018年JB-POT合格
心臓麻酔経験症例数
2018年度89例
2019年度(6か月間)51例
後期研修医として、心臓手術の麻酔を指導していただいて私は、当院での初期研修終了後、麻酔科で開心術の麻酔を含む研修を4年間しました。実際に年間約100例ペースで開心術の麻酔を経験し、当院の心臓麻酔研修の印象をお伝えします。
まず、指導・教育体制ですが、開心術の麻酔管理では必ず心臓血管麻酔専門医が指導につき、TEEの教育だけでなく、術中麻酔管理について改善点の振り返りがあります。そのため、ただ単純に年間100例をこなすというのではなく、常に考えてより良い麻酔管理ができるということを目標に研修ができます。
また、担当症例に関しては、個人の到達度に合わせて吟味されており、最初は合併症が少ない症例から開始します。その後、半年から1年に一度の面接での希望調査や個人の到達度に合わせてステップアップをしていきます。そのため、まず一般的に心臓血管外科手術で求められる麻酔管理を一通り学び、最終的に緊急症例・合併症のある症例の麻酔管理を行えるところまで到達することも可能であると考えます。
2017年卒麻酔科医
心臓麻酔経験症例数
2019年度25例
麻酔科医1年目で開心術の麻酔を20例ほど経験できています。9月頃から上級医がする心臓麻酔を見学し始めました。日々の空いた時間を利用して経食道心エコーを操作させてもらい、心臓麻酔を行うための準備を進めていきました。心臓麻酔チームの先生たちが作成した心臓麻酔手順書もあり、術前準備・麻酔導入・術中管理についてより深く学ぶことができます。知識と経験に富んだ上級医に入室から退室まで付きっきりで指導してもらえ、症例ごとにフィードバックももらえる環境で非常に充実した研修生活を過ごしています。